『将棋魔法陣 二上達也詰将棋作品集』(2015)

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二上達也『将棋魔法陣 二上達也詰将棋作品集』日本将棋連盟、2015年

二上達也『将棋魔法陣』は1953年に清水考晏氏が謄写版刷りで詰将棋クラブ版として発行したのが最初である。この年は二上達也氏が六段に昇段する。21歳という凄い才能である。

私が持っているのは野口益雄氏が1974年に改定版を出した1976年第2刷である。玉の全格配置(81格)と不成の組合せは新鮮だった。

解題で若島正氏が「古典詰将棋の影響が濃厚で、時代が時代だけに、まだ近代的な詰将棋の感性を獲得するに至っていない」と古図式の『図巧』『精妙』そして『無双』の影響を書いていた。もちろん、プロットや収束手順などに本歌取りの影響を認めることができよう。60年間の現代詰将棋の技術進歩からすれば古臭い作図かもしれない。しかし、解くものを驚嘆させる手順を発見するとき、詰将棋の楽しさを十分に味あわせてくれることは間違いない。

仮に二上達也九段が職業詰将棋作家としての制約がなければどのような詰将棋が生まれていたことか、若島正氏でなくても夢想せざるを得ない。

48番の不詰は修正案がないのは残念だが、それも含めて青春の書である。

編者である角健逸氏による二上詰将棋珠玉編100番には『二上詰将棋金剛篇』から36番も採録されており楽しめる。限定1,000部では足りないのではないかと心配する。

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