梅原猛『親鸞「四つの謎」を解く』新潮社、2014年
著書の発売記念で12月13日に久しぶりに著者の講演を聴けることになった。それまでには読んでおきたい。講演を聴くために読む本が溜まるのは、並行して本を読むからで、この習慣を変えないと図書館から借りて読むことはできそうもない。
著者にとって親鸞の四つのことが分からないという。
1.出家の謎
2.親鸞が法然門下に入門した謎
3.親鸞の結婚の謎
4.親鸞の悪の自覚の謎
1.なぜ親鸞は出家しなければならなかったのか?
親鸞の曾孫の覚如が著した『親鸞伝絵』によれば「興法の因うちにきざし、利生の縁ほかに催しによりて」9歳で出家したとあるが、それ以上の説明がない。
父の日野有範は貴族であるにも関わらず、長男の親鸞以外の全ての兄弟が出家している。異常なことではないか!
その死んだとされる有範卿が実は生きていた。いったいどういう事情がそこにあったのか?
2.なぜ親鸞は比叡山での修行を止めて、法然に入門したのか?
慈円のもとで二十年間修行し仏教界での出世が約束されていたであろう親鸞がなぜ乞食坊主同然の法然のもとに入門するに至ったのかということが強く問われてこなかった。
3.なぜ親鸞だけが結婚することを公然と表明したのか?
釈迦以来のもっとも重要な仏教の戒律を否定した浄土真宗は、果たして仏教といえるのであろうか。
「実は親鸞の結婚について、一つの根強い伝承があるのである。それは、正式な妻として多くの研究者にも認められている恵信尼の前に、もう一人の妻として、九条兼実の娘、玉日(たまひ)という女性が存在したということである。」
定説との違いは存覚の『親鸞聖人正明伝』の扱いである。偽書とみるか、真実を含むとみるか。
4.「悪の自覚の謎」とは、親鸞が自らを大悪人と同一視するほどに、「悪」すなわち罪悪感を自覚していたことに関する疑問である。」
五逆の罪を犯したものは救われない。父母殺しの阿闍世を救おうとして親鸞は教行信書の信の巻を書いているのか。
教行信書を読むのは挫折したので親鸞の執拗さを言われても分からないが、「悪」の自覚が強過ぎないかと思う。どうして「悪」の自覚がこのように強いのか?
さて、本論をこれからゆっくり見ていこう。
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