倉本一宏『藤原行成「権記」全現代語訳(上) 』(講談社学術文庫、2011年)
藤原行成(ゆきなり、972年-1027年)は能筆家として三蹟の一人として知られている。蔵人頭の時代の日記が政務を詳しく記録している。藤原道長の側近である。『権記(ごんき)』は権大納言にまて昇進したことによる。
詳しく知りたい人のために著者は、黒板伸夫『藤原行成』(吉川弘文館、1994年)をあげている。
本巻は正暦2年(991)から長保2年(1000)の日記の現代語訳である。
用語解説と人物注があるが、著者はジャパンナレッジの利用を勧めている。
まずは伝記を読んでから本書を読むことを考えた。しかし、下巻に著者が書いているように、藤原行成が政務に追われるなかで、家族を失っていったことが強く印象に残った。この男の哀しみが見えるような気がして伝記は手にしていない。
行成が面白いのは、蔵人頭を辞職して(参議に登る)夢をみた翌月の長保元年9月に蔵人頭の辞職を上表したが、辞状は返却されたにもかかわらず、長保2年3月にも蔵人頭の辞職を奏聞している。参議になったのは長保3年である。
しかし、Amazonの書誌は書名の付け方が一定してない。
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