水無月は水に関する本を買うことになりました。
(購入後記)
『利根川図志』の原本現代語訳に関連する本がないかAmazonで調べていると本書の表紙の利根川の地図が目に入り、ポチしました。
配達された本書を手に取ると、本文には地図はなく、『週刊朝日』昭和40年8月6日号から昭和41年1月28日号に連載した『週刊風土記・利根川』を本にしたものの文庫化したものでした。連載時には当然地図や写真はあったと思われますが、エッセイだけになっていました。赤松宗旦の『利根川図志』を引用していましたので、地誌的なものをイメージしていましたが、小説家のルポであると解説の平野譲が書いていました。平野譲は的確な批評家です。大岡昇平の『堺港攘夷始末』(中公文庫、2004年)のようなものを期待した私が浅はかでした。
しかし、実際に頁をめくっていくと、流石に安岡章太郎です。半世紀以上前の話ですが読ませてくれるではありませんか。徳川家康が渡良瀬川に運河を引いて太平洋へ川の流れを変える前のことが知りたくなりました。その辺りは坂東を扱った古代史の本として川尻秋生『古代の東国2 坂東の成立 飛鳥・奈良時代』(吉川弘文館、2017年)やすみだ郷土文化資料館の展示「武者の記憶ー水辺の武士とその伝承ー」で見た古地図が少し参考になりました。写しは原本とは違って想像が入っているようです。
【エッセイ】
安岡章太郎『利根川・隅田川』中公文庫、2020年
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