神無月に書物を見直している。
だいぶ傷んでしまった本や、しばらく見つからなかった本を手に取ると、時間というものの不思議さを感じずにはいられない。
日経新聞の半歩遅れの読書術で小熊英二がジェラルド・カーティス『代議士の誕生』(日経BP)を取り上げていた(2022/10/22)。2009年に新訳版で復刊したという。前書きを追加した分、翻訳者に大野一氏が加わっているのだろうか。ジェラルド・カーチスでなくてジェラルド・カーティスになっているのは時代を感じさせる。大学の時に読んだ本なので、ほとんど記憶がなくなっていたが、小熊英二氏がウクライナからの移民の子と紹介していたのに刺激された。両親と生まれた場所を紹介するのが、人物を扱う場合の常套手段である。
Dainさんの『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』(技術評論社、2020年、kindle版)のサンプルを読んでいて、本を探すには、まず人を探せということで、日経新聞の半歩遅れの読書術が紹介されていた。読みたい本はきっと誰かが読んでいて、読書の達人に学んで本を探すというアイデアがよい。本屋は新刊本ばかりで図書館でないと良い本に出会えなくなった。
【思想】
高田博厚、森有正『ルオー』筑摩書房、1976年
【政治】
ジェラルド・カーチス、山岡精二訳『代議士の誕生ーー日本保守党の選挙運動』サイマル出版会、1971年
【京都】
八木透編『京都愛宕山と火伏せの祈り』昭和堂、2006年
コメント