倉本一宏『藤原道長「御堂関白記」 上 全現代語訳』 (講談社学術文庫、2009年)
藤原道長(966年-1027年)の日記は陽明文庫に、自筆本14巻、孫の師実の古写本12巻が伝わり、いずれも国宝である。
倉本一宏氏の現代語訳は講談社学術文庫から3巻出ている。道長は長徳元年(995)から治安元年(1021)にかけて日記を書いており、本上巻は長徳元年から寛弘5年(1008)に当たる。
補注はなく、用語解説と人物注があるだけである。道長の伝記を別途読んだ上でのチャレンジが必要になるだろう。朧谷壽『藤原道長』(2007)はこのブログでもとりあげた。
倉本氏は高速で何度も読むことを勧めている。しかし、平安時代の制度やしきたりがわからないとスピードは上がらない。用語解説を読んだり、インターネットで調べたりするので、最初の回はのんびり読むことになる。
それでも、朧谷氏の指導のもと原文を読んだところなどが出てくるとニヤリとする。
道長は詳しく書いていないので、行成の『権記』も併読しているため、いつになったら終わるのだろうか。要は6冊あるのだ。
道長の日記を現代語で読めるのは嬉しいことだが、読むための労力に比し得るものは少ない。宮廷世界を知るためのキーワードが何かを教えてくれるが、それなら基本書を読んだ方がよいに違いない。体系的知識が求められる。
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