『京都の歴史を足元からさぐる[洛東の巻]』(2007)

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森浩一『京都の歴史を足元からさぐる[洛東の巻]』学生社、2007年

著者はあとがきで「学は人の砥礪(しれい)なり」と書いている。「砥は細いトイシ。礪はあらいトイシ。細かい研究にくわえ、大きく物事を見る姿勢の両方が必要」と云っている。

さて、久しぶりに読み返す。

「ぼくがこの本で書こうとするのは京都の歴史の面白さであって、文化財の解説の羅列ではない。先日ある有名な寺を訪ねた。すると建物の修理ではないのに本堂と門には周囲に厳重な柵をこしらえていて近づけない。これではその寺の僧たちもこのお堂では一切の法要などしないということなのかとおもった。これではこれらの建物はすでに無用のものとぼくにはうつり、無用のものを平気でもつ寺のことを書く気がなくなった。そういう点でこの本が取りあげる対象については、ぼくの判断が左右するし、それがある意味でのいまの京都の歴史をさぐることにもなりそうである」。

はじめに書いてあったことを読み飛ばしていた。ある有名な寺が思い浮かばない点で私も未熟である。このシリーズを読み直す一つの観点ができた。

東山三十六峰の南限

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