『グーテンベルクの銀河系』(1986)

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M.マクルーハン、森常治訳『グーテンベルクの銀河系 活字人間の形成』みすず書房、1986年、2001年第10刷
書誌情報
Marshall McLuhan,THE GUTENBRG GALAXY  The Making of Typographic Man, University of Tmronto Press, 1962
翻訳は高儀進訳『グーテンベルクの銀河系』(竹内書店、1968年)がある。森常治氏による新訳は英語のペーパーバック版の本に比べて分厚くなっている。これはみすず書房の本の造りの違いだろう。
20年以上前に買ったのであるが、イマイチ銀河系に馴染めなかった。モザイクで構成された本論は部分的に気になることはあっても、全体がなんだかわからない本だったので、まだ、読むのが早いと思い、箱に入れて閉まっていた。今なら、Bookoffへ持って行く。しかし、すでに時間が経ち過ぎているため、引き取ってくれない本になってしまった。
「エリザベス朝のひとびとは、中世的な共同体的経験と近代的な個人主義との間で、からくも平衡をとりながら生活していた。他方、われわれ現代人は、個人主義が時代遅れのものとなり、共同体的相互依存こそ不可欠なものに思われる電気テクノロジーに遭遇しているのであり、われわれが対面している状況の型はエリザベス朝人のそれとはまさに逆の関係にある」(p.3)。
グーテンベルクの印刷技術が個人主義を作り、電気回路技術が共同体的相互依存を齎すというメッセージとして受け取った。西欧近代社会が個人主義であることは、マクルーハンの助けを借りなくてもよいが、個人主義が時代遅れということはどういうことなのか。現代の世界情勢を見るとき、共同体的相互依存が個人主義に揺さぶりをかけて、全体主義に傾斜するという意味と受け取ってよいかは吟味が必要に思う。
60年以上前のマクルーハンの予言と受け取るかはさておき、電気回路技術はインターネットに進化を遂げた。インターネットが世界を一つにすることはなかったが、共同体的相互依存を強めるものとなったといえる。社会を分断し大衆社会の形を変えるのはインターネットの使い方によることも見えてきた。マクルーハンのいうメディアが大衆社会において決定的なものになったのである。

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