『英文をいかに読むか』(1959)

読書時間

朱牟田夏雄『英文をいかに読むか』文建書房、1959年、1988年第64刷

大ベストセラーであろう。研究社で2019年夏に新装版がでる。

3編から成っている。

第一編 総論 13-46

英文解釈の心ぐみ

第二編 演習 49-274

第三編 作品研究 275-327

“DOODLES IN THE DICTIONARY” by Aldous Huxley

総論の例文1はGeorge Orwellのessayだった。

切り出されたパラグラフは難解な文章ではない。しかし、これを誤解なく読むだけの知識がなければ、英語など読めやしないという著者の主張は正しい。反対の意味に取ったり、構文の迷子になったりしていては読書にならない。翻訳ものでも意味が反対に訳されている事例を別宮さんの本でも散々読んできた。

気になったのは、取り上げた例文でGeorge Orwellが搾取される側とされる(イギリスの)労働者も当時の世界全体からみれば、exploitersだったという文章である。最近読んだ大木毅氏の『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書、2019年)も反戦運動が第一次世界大戦の時のように起きなかったのは、全体主義の統制が組織的な罷業や反抗を不可能にしたとする従来の説に対して、ドイツ国民が収奪戦争により生活を支えられたexploitersだったからだという研究が書いてあり、その状況はかつての日本にもあったのではないかと思う。

#語学 #英語

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