落合淳思『漢字の字形甲骨文字から篆書、楷書へ』中公新書、2019年
本屋に目的の本がなかったが並んでいたので買ってきた。落合淳思氏の本は私の中で信用度が高いので、無鑑査というわけである。
本書の意図はあとがきに書いてあるので引用する。
「字形表を作った意義は、なんといっても見た目で分かりやすいことである。漢字の成り立ちについて、かつての研究では、一部の字形だけをつかうことが一般的であり、推測あるいは憶測という程度のものだった。しかし、各時代の字形を集めて一覧表にすることで、そうした曖昧な考えを払拭し、誰の目にも明らかな形で成り立ちや継承関係を示すことができる」(P196)。
字形表をどうやって作ったのかというと、
「本書は各時代の字形をフォント化することで字形表を作成したが、非常に時間がかかる作業であった」(P197)。「実際のところ、本書は文章を書くよりも、フォントを作る方に時間がかかっている」(同上)。
著者の苦労が偲ばれようというものだ。できればフォントも公開してもらいたい。象形文字や指示文字などが104の字形表(枠線で囲われているものをカウントした)になっているが、もちろん漢字の一部でしかないのでもっと増やしてもらいたいところである。
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