伊藤公一郎『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』光文社新書、2017年第2刷
因果関係と相関関係の違いを理解しないと、データ分析は役に立たない。データを集めて関係性を見つけたとしても相関関係を示すだけで因果関係は証明できない。本書は経済学者が数式を使わないで因果関係に関するデータ分析のテクニックを紹介しています。
まず最良の解決法としてランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT)が紹介されます。RCTが使えない場合に自然実験法(Natural Experiment)としてRDデザイン(Regression Discontinuity Design「回帰不連続設計法」)と集積分析(Bunching Analysis)が紹介されます。境界線(borderline)が扱えない場合にパネルデータ分析があげられます。
実践編では、エビデンスに基づく政策形成(evidence-based policymaking)についてオバマ政権の政策が語られ、幾つか例が紹介されています。果たしてトランプ大統領はどうなるのやら。
上級編では、データ分析の不完全性や限界について述べられます。
「外的妥当性」
「出版バイアス」や「パートナーシップ・バイアス」
「波及効果」
「一般均衡的な効果」
参考図書の紹介と引用文献と数学付録が付いています。索引はありません。
BI流行りだけど、大概は相関分析でしかないことが分かる。この本の例示で因果関係の扱い方の勘を鍛えたい。
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