『ほんとうの京都暮らし』(2025)を読む

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安田雪『ほんとうの京都暮らし 12ヶ月を愉しむ作法と美意識』光文社新書、2025年

確かに、裏千家の家元のエッセイと違い、贔屓の芸妓さんの名前や料理屋の名前が出てくる。よそ者だからできる技かもしれない。しがらみの中で生きていれば名前など出せなくなる。私も20年は京都に足を運んできたが、よそ者なので芸舞妓さんの名前をブログにさも知っているかのように載せてきた。贔屓の芸妓さんは引いてしまったのでそちらの方は遠ざかっている。春秋の踊りを観ることが愉しみとなっている。

本書は春の桜から始まる。東京のソメイヨシノは上野公園、千鳥ヶ淵といった場所での集合的景色を楽しむものである。京都は、個性的な桜を鑑賞することになる。醍醐寺の枝垂桜、平野神社の魁桜、東寺の不二桜、千本釈迦堂の阿亀桜など挙げればキリがないが、なんと言っても祇園枝垂桜(丸山公園のしだれ桜)である。第16代佐野藤右衛門氏(2025年10月31日没)によって守られてきた(p.12)。本書が書かれた頃は存命だったのである。

話は桜餅になる。

「長命寺さくら餅」の山本やは小麦粉の薄皮でこし餡を包んでいる。京都は道明寺粉でつぶし餡を包むと書いてあって、平安殿の名前を挙げていた(p.11)。嵐山で食べた桜餅も道明寺粉だった気がするが、記憶が定かでない。

こうやって一つひとつ記憶と突き合わせながら本書を味わっているので、暫く通勤の友になる。

『ほんとうの京都暮らし』(2025)

『ほんとうの京都暮らし』(2025)

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