『古代天皇制』(2026)を読む

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大津透『古代天皇制』岩波現代文庫、2026年

大津透氏は『律令国家と隋唐文明』(岩波新書、2020年)以来である。本書の主な内容はもっと古いのである。

(書誌情報)

論文集であるが、引用は書き下し文にするなと、一般読書人向けに加工されている。内容は専門書である。1999年に刊行したものを岩波現代文庫化にするにあたり、「天皇号の成立と唐風化速夫(佐川英治編『〈史学会シンポジウム叢書〉君主号と歴史世界』山川出版社、2023年)を「補章」として収録し、「岩波現代文庫版あとがき」を付している。索引は件名索引と史料索引からなる。詳しい註がある。

論文集なので興味を引いたところから読んでいる。

第七章 天皇の服と律令・礼の継受

天皇の正装

天皇の礼服を律令制は衣服令7服色条で「凡そ服色は白、黄丹、紫、以下略」の順に定めているので、白色ということになる。しかし、今の天皇の正装とは異なる。

『日本紀略』で帛衣(はくい)、袞冕(こんべん)黄櫨染衣(こうろぜんのころも)を定めたとある(p.150)。黄櫨染を今生陛下が即位の儀式で着用していたのを思い出した。黄丹(おうに)は皇太子の時の束帯の色であった。

挙哀儀礼

挙哀儀礼(こあいぎれい)を読んでいて、天皇と功臣との関係を思い出した。壬申の乱の功労者の死に際し天武天皇は唐礼に倣ったのだろうか(虎尾達哉『苦悩の覇者天武天皇 専制君主と下級官僚』吉川弘文館、2024年)。

錫紵と素服

錫紵(しゃくじょ)は唐令では、「皇帝が臣下を弔する特別の服」(p.173)であったが、日本では養老令2服錫紵条があり、親族や臣下の死に対する喪服を規定している。錫衰(しゃくさい)は細い麻布で作った喪服であり、「日本古来の喪服は白色だったから、律令法継受にあたり天皇喪服の色を白から黒に変更したことになる。錫字を誤解したことにもとづくのか、天皇服が白色であるので意図的に喪葬を黒にしたのか、不明であるが、かの令文に定められた錫紵の制は、いわば日本的な礼として以後定着する」(p.176)。唐の皇帝が麻布で臣下の死を特別に弔したのに対し、日本は天皇の喪服を墨染めにしてしまったのは何か誤解があったと思う。

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