『無心ということ』(2007)

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鈴木大拙『無心ということ』角川ソフィア文庫、2007年、2015年13版

書誌情報

浄土真宗系の同信会の講演4回の速記録に2回ぶんの講演を書き足して全6講となっている。1939年に大東出版社から出たものである。1955年に角川文庫としたものを2007年に改版し、末木文美士の解説をつけている。

「一竹葉堦(かい)を掃(はら)って塵動かず、月潭底を穿ちて水に痕ない」という句が引かれていた(p.14)。あれっと思ったので、ネットで確認してみると「一竹葉」が「竹影」となっていた。

竹影掃堦塵不動、月穿潭底水無痕(『密庵咸傑語録』)

竹影堦を掃って塵動ぜず、月は潭底を穿って水に痕無し(黄檗ネット)。

鈴木大拙記念館に掛軸があって、「竹影掃堦塵不動 月穿潭底水無痕」とあったので、講演録の問題か、大拙の記憶違いだったかもしれない。竹葉で始まる禅語は多いのである。

鈴木大拙は無心を宗教としての「受動性」の意味で捉えている。読書会での「無」の議論とは噛み合いそうもないと思った。

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