『英文読解を極める』(2023)

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北村一真『英文読解を極める:「上級者の思考」を手に入れる5つのステップ』NHK出版新書、2023年
「英語(英文)の難しさ」を5つに切り分けてそれぞれの特徴や攻略法を解説している。鹿島茂氏の「正しく考えるためのデカルトの四原則」の②分けて考えようの実践である。
「①文の構造」「②文章の構造」「③語彙」「④言葉の使い方」「⑤翻訳に関連するもの」に分けていたが、第1章 「英語読解の精度を上げる」では文の骨格を予測する力について述べられていた。
第2章「文章の構造・論理をすばやくつかむ」は文と文の論理関係に着目して、「類似関係(resemblance)、因果関係(cause-effect)、連続性(contiguity)が取り上げられた。
「この分類はアンドリュー・ケラーというアメリカの言語学者が近代の哲学者デイヴィッド・ヒュームの考え方に着想を得て提案し、その後、心理学者のスティーブン・ピンカーが、文章作法を扱った一般書で紹介したもの」(p65)という。
それってSTEVEN PINKER The Sense of Style:The Thinking Person’s Guide to Writing in the 21st Century,Penguin Group(LLC),2014のことだった。
これは、kindle版にするか、ペーパーバックにしょうか迷って、とりあえずサンプルをDLして読み始めたところだった。なんて偶然だろう。買うしかない。しかし、読む時間が取れるのはかなり先のような気がするので、とりあえずはkindle版のサンプルを読み終わってから判断する。
第3章「いかめしい単語の効率的な覚え方」は接頭字や語源で覚えるやり方で、結構ラテン語も出てきて楽しくなった。
第4章「本当の意味で「わかる」ために必要なこと」は聖書やシェイクスピアなど文化的な背景の重要さの再確認である。ここでも予測が説かれていた(p.196)。55ページと最大のページが割かれている。
第5章「英語を読む、日本語に訳す」では直訳と意訳が「情報構造」の観点から考察されていた。疑似分裂文が日英で違う点の指摘があり、翻訳の奥深さを感じる。読むという行為は、常に予測と修正の繰り返しなのである。
独習のヒントが各章末にあり、参照すべき本が挙げられている。
英語を読む時の頭の働かせ方を意識するとこうなっているという本であった。著者の尖った本にしたいという意図は達成されたと思う。

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