『大政所と北政所』(2022)

読書時間
河内将芳『大政所と北政所ーー関白の母や妻の称号はなぜ二人の代名詞になったか』戎光祥選書ソレイユ、2022年
書誌情報
詳細な目次、参考文献、関連年表があり、索引はない。選書という一般書である。
豊臣秀吉と母と正妻に焦点を当てた論考である。副題が著者の問題意識となっている。
本書の時間軸は「天正十三年(1585)に秀吉が関白に任官し、ふたりが大政所と北政所とよばれるようになって以降、大政所が亡くなり、そして、北政所が北政所とよばれなくなる慶長ハ年(1603)まで」(p.8)である。
一般書だから、読む気にもなるので、専門書だとこちらの興味が合わないと挫折することが多い。河内将芳氏の本は読んできたので、同時代史料を使った読み物として秀吉の時代を色々と検証していくのは小気味良い。視点が違えば論じた方も変わり、通説的解釈も気になりはじめる。自分の作ってきたイメージが根拠の薄いものであることがわかってくる。
大政所の名前すら不確かである。手紙や貴族等の日記では本名を書くことはないので、大政所という関白の母堂の名前は論じようがない。TVや小説の中にしか出てこないが、証人(人質)とされたことくらいしか知らなかった。
北政所は高台院となってからは書かれていない。

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