『シャーロック・ホームズ』を観る

Goinkyodo通信 視聴時間

宝塚宙組東京公演『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』2021年8月21日(土)〜9月26日(日)

宙組の東京公演を観た。
9月に入ってぐつついた天気の続く東京である。

ミュージカル『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』の作・演出は生田大和氏だった。サー・アーサー・コナンドイルの著したキャラクターに拠るとあるので、キャラクターを借りた作品である。ホームズものは宝塚にはキャラクターが足りないのである。今回は真風涼帆さんと潤花さんの新コンビのお披露目公演だった。ハドスン夫人を遥羽らら(RARA HARUHA)さんが演じる。ららさんは今回で退団になる。ららさんは98期生だから2012年に宝塚歌劇団に入団したので10年選手なのだ。

ビクトリア女王時代のロンドンを恐怖に陥れた切り裂きジャックを取り入れて、ホームズと宿敵モリアティー教授の戦いを描くエンターテイメントである。鎖を使った演出が面白かった。しかし、上田久美子氏と違って現代への批評の眼差しがない。

タイトルの副題がThe Game Is Afoot!がピンとこなかった。北村一真氏の『英文解体新書2』(研究社、2021年)にコナン・ドイルの作品が取り上げられていて、古い英語だと思った。しかし、この本には載ってなかった。「獲物が動き出した」ということはパンフレットを読んでわかった。こればかりは知らないとわからない。kindle版の『Adventures of Sherlock Homes』でgameで検索してもThe game’s up.がThe Adventures of  Blue Carbuncleくらしにしかなかった。こちらの方は、S1Bで切り裂きジャックの実行犯が運んできた荷車の扉に貼ってあった。モリアティーがホームズの計画を察知していたのだろうか。

生田大和氏がオタクであることは、設定の複雑さでわかったけど、ちょっとまて、「海軍条約文書事件」をもじるのはいいけど、「超弩級潜水艦ドレッドノート号」の設計図とはちょっと変だぞ。超弩級とか弩級戦艦とか戦艦の規模を表すのはドレッドノート号から始まった(1905年)。ドレッドノートは級(クラス)を表すようになる。弩級から超弩級と意味が変わっていく。「超ドレッドノート級ドレッドノート号」の意味になってしまう。まだ、戦艦のドレッドノート号ができてないのにその名前を使った弩級(クラス)を超えるの超弩級潜水艦名はちと早過ぎはしまいか。イギリス海軍がドレッドノートを潜水艦の名前につけたのが、原子力潜水艦の名前が最初であって、就役は1963年だ。ミュージカルの時代設定は1892年でヴィクトリア女王の時代ではそもそも無理がある。ミリオタとしては命名に難ありとしておく。作家がシャレでわざと間違えるという巧妙な仕掛けで我々を釣ろうと仕込んだ技であれば、してやったりとほくそ笑んでいるに違いない。

『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』の作・演出は野口幸作氏だった。宙組は歌が上手い。

総じて十分たのしめた。

遥羽ららさんありがとう!

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