『小林秀雄講演【第六巻】音楽について』新潮社、2004年、CD1 72分31秒(談話11分15秒/音楽60分9秒)
これはリミックスです。小林秀雄が昭和42年(1967)に五味康祐氏と行った音楽談義を編集し、「小林秀雄が賞賛した名曲や名手の演奏、氏が聴いた同じ時代のレコード(SP・LP)から採取し、氏自身が語った声を組み合わせたものです」。演奏毎に小林秀雄の談話として再構成されています。この講演シリーズでは異色な作り方です。音楽を聴くことの主観性を小林秀雄がいっています。この主観性は体調が悪いと音が違って聴こえるといったレベルのことではありません。音楽を聴くことはいつだって精神が創作しているのです。蓄音機は二度と同じ音は出せないといいます。ただ一回の事件を耳は聞き分けられないのです。
注)SP盤を蓄音機にかけたとき、鉄針は1回毎に替えていました。SP盤も原盤のプレスした時期や再生した回数で音が違うと考えられます。我々の耳の構造では聴き分けるだけの差があるのか分かりません。一回の鑑賞会で同じSP盤を2回もすり減らすことは普通しませんから、試したことはありません。LPでは、針が飛んで雑音が入る経験をしましたので、何度も聴けば音質は落ちることは経験的に分かっているだけです。
コメント