『邯鄲』(2006)

視聴時間

雪の蝋燭能 第二夜『邯鄲』日本伝統文化振興財団、2006年

2006年1月22日のスピカ雪の蝋燭能を見る。2夜目である。

『邯鄲』はあまりにも有名な話である。解説は不要であろうと思うが、後で簡単に触れておこう。以前に円満井会定例能で見たのは金春流であった。今回は観世流である。

シテ(蘆生)はもちろん観世喜正師である。昨夜の『大般若』も同じだが、中国ものは装束が派手で良い。

邯鄲の宿に泊まった書生の蘆生が、不思議な枕でひと眠り。粟飯(あわいい)が出来るのを待ってうとうとしていた僅かの時間に夢の中で蘆生は王となり臣下に傅かれる日々を送る。

夢と現実が等価であれば、蘆生は幸せな生涯を生きたと言えるかもしれない。蘆生の想像力が見させた夢をどう描いたらよいのだろうか。人は自分では自身の想像力を超えられない。書生の見る夢には書生の想像力のリアリティしかない。

アイ狂言(宿の女主人)の野村萬斎師の持つ不思議な枕により、蘆生は悟りを得たのだった。

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