永坂嘉光『五大 地・水・火・風・空 高野山・紀伊山地の霊場と参詣道』GPミュージアムソフト、2004年、DVD42分
竹内信夫氏の『空海入門 弘仁のモダニスト』(2016年)を読み返していて冬の高野山が見たくなって、封を切る。永坂嘉光氏の写真150点とビデオである。東寺に行ったとき、永坂嘉光氏の写真展「空海の歩いた道」(2008年)が開催されていて、その時求めてから10年間もほっておいた。まあ、そんなのばかりなので驚くほどではない。
雪の大峯奥駈道を修験者に無理矢理歩かせた感がある出だし、熊野参詣道はちょっと雪に獣の足跡を写したら、巡礼の姫御前を登場させる。イメージガールは間に合っているのであるが、雪の残る道を歩かせているのでかろうじて受け入れている。
熊野の霊場のあと雪の高野山町石道が出てくる。ここから五大が始まる。写真をDVDにしているので、繋ぎの映像と合わない。雪の写真が何枚か出てくるので、高野山の冬をイメージしたいが、切り取ったシーンを次々に見せるだけでは、写真集で見たほうが落ち着ついて自分のペースで見ていられる。写真を動かすのはニセモノ感が強い。静物を映しても映像には時間があるのである。
やはり、冬の高野山を味うには『virtual trip 高野山』(2008年)の第1章が私のイメージに合う。雪が降るのは映像で見るに限る。ナレーションも要らない。字幕で十分だ。大塔の中の荘厳に酔う。堂本印象の菩薩絵が16本の柱に描かれている。常楽会の声明が2月の夜に厳かに響く。冬から始まるのは正解だと思う。
『virtual trip 高野山』(2008年)
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