納富信留「イデアの超越 ーー魂の変容と現実の開示ーー」『思想』2015年9月号、岩波書店
納富信留氏が「イデア論」とは何かと迫っている。
「プラトンの「イデア論」は今日、現実無視の陳腐なドグマ、そんな風に思われている。とりわけ、ニーチェが提唱した「プラトン主義の転倒」とそれを受けて展開された現代哲学において、完全に退けられた、と信じられている。だが、私たちが退けたとする「イデア論」とは一体何なのか。その真相を私たちはまだ知らない。「イデア」を論じる可能性を根源から再考すること、それが本論の目標である」(41頁)。
ソクラテス以降のギリシャ哲学をdisるのが20世紀の哲学の傾向と理解していたが、どうやらプラトンの「イデア論」をどう読むかはどう哲学するかが試されるようだ。私たちが理解できないと決めつけることは、思考の放棄かも知れない。そうなると、この論文だけ読んでいてもしかたがないので、概説書を読んでみるが、井上忠氏が担当した部分は「あれ」とか「その」とか出てくるので、じっくり読まないと意味が通じない。「イデア」論の解説だけ読んでもよく分からないのであった。
注にあがっていた本を読むことにしたい。
納富信留『プラトンとの哲学ーー対話篇をよむ』岩波新書、2015年
井筒俊彦『神秘哲学』岩波文庫、2019年、解説を納富信留氏が書いている。
注)原佑、井上忠、杖下隆英、坂部恵『西洋哲学史 第三版』東京大学出版会、1955年、1974年第三版、2000年第三版22刷
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