井上逸兵『英語の思考法 ーー話すための文法・文化レッスン』ちくま新書、2021年
文化的なアプローチで英語を捉えることを教えてくれるユニークな本である。
基本は帯にあるとおりである。
1.英語は「独立」志向
2.英語は「つながり」を好む
3.英語は「対等」がタテマエ
以下は応用編と実践編がある。
英語でコミュニケーションをする際の「核心」を丁寧に解説している。「独立」志向は人を「個」として扱うので、相手の領域にズカズカ入っていかない。これも頭では分かっているようで、使うべき単語までチェックしていなかった。
「つながり」志向も面白い。youとweの印象の違いも新鮮だった。
Are you ready? と習った英語を使うより、Are we set?が相手のことを言っているのに、キツくなく、相手に寄り添っててるような印象がある。
対等がタテマエであるから、話者の間のバランスを保とうとする働きが生ずる。誤り過ぎや感謝し過ぎはバランスを崩してしまう。
何故その言い方をするのかをズバリ解説した本である。コミュニケーション戦略を見直す意味でも異文化コミュニケーションであらぬ誤解を防ぐためにも良い本である。英語をすることは異文化コミュニケーションをすることである。日本的な文脈にいることを自覚しなければ異文化コミュニケーションは成り立たない。
コメント