高橋典幸・五味文彦編『中世史講義 ーー院政期から戦国時代まで』ちくま新書、2019年第2刷
15講からなる中世史の通史である。
呉座勇一氏の第13講 「戦国の動乱と一揆」を読むために買っていたのであるが、通史として読むことを忘れていた。少し引いて歴史を見ていこう。呉座勇一氏の『日本中世への招待』(朝日新書、2020年)はこの本への橋渡しであった。
高橋典幸氏が第1講 「中世史総論」で中世の新たな動きをあげる。武士が登場し、院政が行われ、宗教が個人に浸透し、商人や職人は同業者組合である坐を結成し、自立的・自治的な村である惣村ができてくる。そうした中世の特徴を2つあげる。
中世の特徴
1.イエ社会
古代の氏(ウジ)から中世の家(イエ)へ移行した。天皇家、摂関家が成立した。
2.社会の多元性や分権性
古代国家が集権的・一元的支配を志向したのに対し、中世は国家そのものが問われるほど多元的・分権的であった。
そして、社会全体が分裂・解体しなかった理由について、社会を結びつけるものとして、「聖」を例に挙げていた。どの組織にも属さない聖の重源が東大寺の勧進を可能にした。
さらに詳しく知るための参考文献が呉座勇一氏の
第2講は佐藤雄基氏の「院政期の政治と社会」である。佐藤雄基氏は『日本中世初期の文書と訴訟』(山川出版社、2012年)に手を出してことがあるが、位置付けが分からなかった。
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