『英文読解のグラマティカ』(2018)

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富士哲也『英文読解のグラマティカ』論創社、2018年、2019年第2刷

書誌情報

『英文読解のグラマティカ』(論創社 2008年)に加筆し、修正を加えてたもので、2色刷りです。索引はありませんが構成が明確な作りの本です。学習参考書としては高度な内容です。

本書の構成

本書はPart1からPart3で構成されています。

本書は節(clouse)に着目した本といえます。

Part1は情報構造(information structure)の話が中心です。

「文ではなく節を基本単位とみなし、節と節との関係を捉えなければなりません。」(P8、”,”と”.”はそれぞれ、”、”と”。”に変換している。以下同じ。)。

普通は文を基本単位にとして考えることを習います。著者はそれよりも小さな節を基本単位として説明しています。確かに、文は複数の節から構成されることが多く、修飾関係が複雑な文は、節の関係をみないと意味を取り違えてしまいます。

文と文の関係が一対一では論は進みません。単なる言い換えに過ぎません。節と節の対応関係をみて読むことができれば、文は進行して行くことができます。実際、読み物は、節といえども長く、パラグラフで読もうとすると、前のことを忘れてしまい、読み返すことになり効率よく読めません。これは昔から後戻りするなと口酸っぱくいわれてきたことですが、そのための方法は示してもらえず、前から読めとだけいわれた精神論だけの英語教育を思い出します。著者は情報構造から後戻りしない読み方を述べています。

本書の主題のひとつは情報構造です。書き手はGiven(旧情報)からNew(新情報)の順に節を構成するのが普通です。この場合、GivenとNewの違いは情報価値が読み手にとって低いか高いかの違いとなります。Givenを単に既出とだけ考えてはいけません。

著者は情報構造を説明するに当たって情報単位(information unit)というキーワードを出してきます。「情報単位には、新情報Newが少なくとも1つ含まれてなければなりません」(P20)。情報単位が節や文とどう違うか説明するのが煩雑なのでこれ以上は触れません。本書で確認してください。

Part2では、「主語Subjectと時制Tense、および法Modalityの扱い方」が述べられます。客観性や価値判断に関わるところは読み取りのためにはぜひ押さえておきたい点です。

Part3はまとまったテーマではありません。リポート構造という第三者から得た情報を書き手がどう扱のかを読み取る話や節と節との論理的な関係を扱う連結副詞が丁寧に説明されたりします。

特典

辞書を引かなくても済むように単語やフレーズには訳がついていて、読者の気が散らないように配慮されています。それでも、初めての考え方を理解するには辛抱が入ります。

P234-254まで取り上げた英文が復習用にまとまっていて、拡大コピーして利用できます。線を引きながら読む私にはありがたいことです。

#語学 #英語

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