関口存男『セレクション関口存男 和文独訳漫談集』三修社、2019年
書誌情報
1994年の関口存男著作集を底本に以下を収録したもの。
『和文獨譯漫談集』1958年(1933年版の再刊)
和文獨譯漫談 雨傘論『獨文評論』1935年5月号
和文獨譯漫談 またしても形容詞の語尾『獨文評論』1935年6月号
高級文法 彼奴は誠意がない[1]『獨語文化』1941年7月号
高級文法 彼奴は誠意がない[2]『獨語文化』1941年8月号
こんな感じである。
(問題)
人間至る処青山あり。
生徒 それを作るんですか?
教師 それを作らなきやどれを作る。
生徒 アイた口が塞がらねえ。
この本の問題を「漫談」抜きで並べられたとしたら、難しさを感じて尻込みしたくなる。Google翻訳では無理なのは分かっている。
こんな問題を出した関口存男(せきぐち つぎお)は、LessingのMinna von Barnhelmから、Geht hier allein die Sonne auf ?を取り上げて、「人間至る処青山ありの訳としてなら、確かに百二十五パーセント半の適確さをもっている」とした。
文学の翻訳は難しい。幕末の僧 月性の「将東遊題壁」という漢詩から取られた「人間至處有青山」の意味するところが分からなければ、そもそも無理である。詩の全体を見ると気負いが伝わる感じがする。Lessingの喜劇の台詞を持ってきた関口存男をよしとする気になった。
男児立志出郷關
學若無成死不還
埋骨豈惟墳墓地
人間至處有青山
#語学 #独語
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