子安宣邦『昭和とは何であったか』藤原書店、2008年
子安宣邦氏の読書論である。書評は本が刊行された時分になされるものであるが、古書となった遥か昔の本でも出会った瞬間に邂逅は訪れる。
日本近代を批判的に検討する著者が、研究のための資料を求めて古書店・古書市を巡って本を求めていたが、出会った本により、出会いを求めて歩き回ることが楽しくなったという。
昭和を書物で追体験するといっても、ここに載っている本は知らないタイトルばかりだった。著者がゴミのような本だという田辺元の『種の論理の弁証法』(秋田屋、1947年)も、著者によってなぜゴミなのかが語られるとき、そこに昭和が見えてくる。
#子安宣邦
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