2018年11月購入古書

書籍目録

2018年11月購入古書

だいたい、岩波書店の『図書』は買ったことがない。田村書店で本を買ったついでにもらってきて読むくらいだ。だから、いつも田村書店の印が押されている。神田古本まつりで店内1割引だったので、ワゴンを漁っていないで中の本の背表紙を見ていって、勘で引っこ抜いた。パラフィン紙で背表紙の字など読めやしない。デカルトの本の近くにあったのであたりをつけたわけだ。

哲学者の書簡集なのでカテゴリに困ったが、解題のアンドレ・ブリドゥ氏の「大作家の書簡は常に彼等の著書の最も貴重な註釋である」という発言を受けて、「思想」とした。

谷沢永一氏が「”デカルト論語”の読み方」(1982年)共著『古典の愉しみ』(1983年)収録及び単行本『論より証拠』(1985年)収録の中で、大学生のときに創元社の『デカルト選集』(全6巻)を携えて、瀬戸内海に浮かぶ六島という小さな漁村に、2ヶ月間、籠もったとき、第5巻と第6巻の書簡集を読んで「物の見方、考え方、考えの進め方、その掘り下げ方、それらの根本を、私は、ここから教わったという気がする」と書いていた。

この話は丸山有彦氏のブログで教わったので、去年の神田古本まつりで『古典の愉しみ』(1983年)を手に入れて読んでみた。デカルトの書簡集は『デカルト全書簡集』全8巻が知泉書館から2012年から2016年にかけて刊行されている。しかし、デカルトの自然科学に関する書簡を今更読んでも仕方がない。むしろ、方法論を読み取るためには創元社版がいいのであるが、Amazonにはなかったのであった。

今回、手に入れたデカルトの書簡集は、初版紙型をそのまま使用したという断り書きの紙が挿んであったので、『デカルト選集』と同じ内容と思う。下巻は初版に於る書簡排列の年代的錯誤を訂正したほかは、初版紙型をそのまま使用したとある。いずれも訳者の校閲を得る暇がなくと断り書きに書いてあった。紙質は戦後すぐのため悪い。しかし、何故再版を急いでいたのかは気になるところだが、追求はまたの機会に譲ろう。

そういう訳で、谷沢永一氏が読んだ本と同じ内容ということが分かった。そして、谷沢永一氏が引用した部分を、原典から書き写して、味わうのを朝の日課にしたのだった。自分が使うには孫引きではダメである。

#cafeikkAさんで「団地茶論vol.1」があった時、2階の#甘夏書店さんで『団地の整理学』を買った。「完全なる整理」はないとある。整理も「家事」であるという。勇気づけられる本である。

【思想】

佐藤正彰、川口篤、渡邊一夫譯『哲學叢書 デカルト書簡集(上)』創元社、1940年、1947年第2版

渡邊一夫、河盛好藏、市原豊太譯『哲學叢書 デカルト書簡集(下)』創元社、1940年、1947年第2版

【知】

香住春吾『団地の整理学』中央公論社、1971年再版

コメント

タイトルとURLをコピーしました