『暮らしのこころ』(1979)

読書時間

岡部伊都子『暮らしのこころ』創元社、1979年

ikkAさんの2階の甘夏書店企画の「本と手ぬぐい2」で買ってきた。なんでも手ぬぐいの写真や絵に付箋を貼って古書店さんに出展してもらったという。文句も言われたらしいけど、結構付箋だらけなので(本気出してくれたようだ。)私もその場で3冊買ってしまった。努力の跡を見せてやりたい気がした。

「手拭い」(P5)というエッセイに付箋が貼ってあった。版画は前田藤四郎画伯である。

「「花神」(テレビドラマ)のなかで、緒方洪庵の亡きあと、その妻八重に挨拶に訪れた村田蔵六が「侍はうちわをもたない」と言っていた。大坂の適塾で青年たちがけんめいに蘭学を学んでいた時代のことを「うちわを見て思いだす」様子だった」(P69)と岡部伊都子が書いていた。

このうちわについては、続きがある。

「京には、繊麗そのものの御所用うちわが作られてきた。乙姫さまの飾りのようなもので、町暮しの実用とは程遠い。祇園で舞妓や芸妓たちの名前を書いてくばられる白うちわが、いちばんしっかりと仕立てられている。白いままもらってきた。枕元や机のそばに置いて使っている」とある。

やはり、京丸うちわには芸舞妓さんの名入りがあると飾っていても華やかな気分になる。表が家紋で裏が名前となる。芸妓さんが屋形から独立すると自身の家紋と苗字が入ったものを作ることになる。うちわの家紋と苗字が変わると付き合ってきた歳月が思い出されるのだった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました