青木繁の挿絵

断片記憶

LE PETIT PARISIENで『青木繁展』(2011年)の図録を見ていたら、オーナーが貝原益軒の『女大学』を出してきて、東京書林の和綴本だが、出版年代を調べてもらっているという。見てみると板本であるので明治時代と分かるくらいだ。

次に小島烏水の『書齋の岳人』(書物展望社、1934年)を出してきて説明してくれた。背がゴツゴツしているのが何かという話だった。装丁にミノムシの蓑が使われている稀有な本である。当時2圓80銭したから大した本といえる。小島烏水が自分の本のコレクションについて書いた本である。特装版は35部というので、どうやってミノムシの蓑を集めたのか気になるところである。パラパラ見ていて「青木繁の挿絵本」の話があった。高島宇朗の詩集『せゝらき集』(福永書店、1927年)の改訂増補版に青木繁の挿絵が4枚使われたと書いてあり、『青木繁画集』(1913年)には入っていないと書いていた。

『青木繁展』の図録では「宇朗像」(1904年、鉛筆画)と婦人像(1904年、パステル画)の2点が載せられていた。この婦人がフクダという人かどうか小島烏水も気にしていた。『せゝらき集』の箱と青色の装丁の本も出ていた。オーナーが欲しいと呟いた。

背の部分がミノムシの蓑を縫い合わせたもの

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