『紫文要領』(2010)

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本居宣長、子安宣邦校注『紫文要領』岩波文庫、2010年

段ボールから取り出した。買った理由は不明であるが、たぶん子安宣邦先生の名前が眼に入ったのだろう。

本居宣長の最初の源氏物語論である『紫文要領』は「しぶんようりょう」と訓む。紫文は源氏物語の雅称。『紫文要領』は宝暦13年(1763年)に成立したことが奥書で分かるという。

凡例による子安宣邦氏の解題が分かりやすいのでメモしておく。

「本書は本居宣長の最初の『源氏物語』論である『紫文要領』を、より読みやすい形で読者に提供することを目的に編集したものである。『紫文要領』は『石上私淑言』とともに宣長における「物の哀れ」概念の成立を告げる書である。宣長は「物の哀れ」あるいは「物の哀れをしる心」という文学概念をもって『源氏物語』の意義と価値とを理解した。宣長が「物の哀れ」をもって歌の世界を理解した『石上私淑言』(本文庫『排蘆小舟・石上私淑言』)と本書『紫文要領』とは姉妹篇の関係をなすものである」。

『紫文要領』の位置付けてを見てみると、『紫文要領』は後に書き改められ、『源氏物語紀年考』を加えて『源氏物語玉の小琴』となり、題名も『源氏物語玉の小櫛』と改めて寛政8年(1796年)に成立したとある。『源氏物語玉の小櫛』は現代語訳が入手可能である。『紫文要領』はもう読むことはないと思い箱に戻すことにした。

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