『ソーシャル物理学』を読む(その4)

断片記憶

アレックス・ペントランド、小林啓倫訳、矢野和男解説『ソーシャル物理学「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』草思社、2015年

社会科学の研究の発表を聴いていると、以下の順でまとめられていることが多い。

・研究テーマ

・先行研究のサーベイ

・リサーチ・デザイン

・分析結果

研究テーマでは、問題意識が開示され、先行研究のサーベイでは、先行研究の限界や課題に触れられる。リサーチ・デザインでは、データやサンプル、測定指標と分析手法が明らかにされ、分析結果では、数理的な相関関係で確率論的に説明される。

『ソーシャル物理学』では、実験がサマリーの形で語られることから、先行研究が少ない分野の話でもあり、リサーチ・デザインの分析手法の具体的になところがよく分からない。したがって、分析結果をどう扱っていいのか私には戸惑いがある。

まあ、ビックデータ分析はノウハウの世界でもあり、手の内は明かさないところがあるのは仕方ない。

健康習慣、政治志向、消費行動というこれら3つの例において、ペントランド等が行った実験は、アイデアの流れについて、社会的学習の効果の大きい事例であり、社会的圧力を想定しなくてよい事例であったことで、分析結果をシンプルに受け取れたという点があることは、原注でも触れられている。

ソーシャル物理学が物理学と名乗る以上、検証・反検証が実験によって示されるのは当然と考えられる。より複雑で大規模な実験を行うにはコストもそれ相応にかかることが想定される。『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』のダン アリエリーほどお手軽でないことはもちろんだ。

さて、「アイデアの流れ」を復習をしてみたところで時間が来てしまった。この項は続かないかもしれない。抜き書きする余裕が暫くなさそうなのだ。

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