木村義雄『将棋一代』講談社、1976年
本書は3部から成り立っている。
『私の三十五年』1939年
『将棋一代<私の五十年>』1952年
その後のエッセイ
木村義雄は東京の下町の下駄職人の次男に生まれたが、早く長男が亡くなったので長男として一家の輿望を背負うことになる。やはり、本所の表町にいた頃の幼年時代がいい。貧乏であったが、将棋の才能を愛でられ、小野五平名人や関根金次郎八段に稽古をつけてもらったのが凄い。先達は才能を見抜くのである。そして柳沢伯爵邸に書生として住込し、実家に帰るたびに弟や妹がいなくなっていたのを知らされてどんなにか寂しかっただろうか。
年を重ねると、その年齢の時の話が知りたくなるのだが、残念ながら、時々のエッセイが付け加えられただけで、一貫した読物にしないうちに木村十四世名人は他界していまった。
米長八段のことを批評していたが、彼も故人となって久しい。
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