倉田喜弘編『江戸の端唄集』(岩波文庫、2014年)
『江戸の端唄集』をパラパラめくっていたら、十日戎の唄があって、福笹(吉兆)に付けた縁起物があげられていた。記憶とは曖昧なもので、どのようなものが昔はあって、今は何がというのがはっきりしない。来年の十日戎ではその点を意識しておこうと思った。
今宮戎神社のホームページをみた。
今宮戎神社 | 十日戎 | 大阪市浪速区恵美須
今宮戎神社は大阪市浪速区恵美須西一丁目に鎮座し、天照皇大神・事代主命・外三神を奉斎し、その創建は皇紀1260年(西暦600年)推古天皇の御代に聖徳太子が四天王寺を建立に当り、同地西方の守護神として鎮齋せられ、市場鎮護の神として尊崇せられたと...
「十日戎を象徴するのが、神社から授与される小宝です。小宝は別に「吉兆」(きっちょう 若しくは きっきょう)と呼ばれ、銭叺(ぜにかます)・銭袋・末広・小判・丁銀・烏帽子・臼・小槌・米俵・鯛等の縁起物を束ねたもので、「野の幸」・「山の幸」・「海の幸」を象徴したもの」だという。
『江戸の端唄集』の十日戎の唄は、
「十日ゑびすの売物は はぜぶくろにとりばち ぜにがます 小ばんにかねばこ たてゑぼし ゆでばす さいづち たばねのし ささをかたげてちどりあし」
対比してみると一致しているのは、
銭袋(ぜにぶくろ)
銭叺(ぜにがます)→銭を蓄えるかます、藁で作った袋
小判(こばん)
烏帽子(たてゑぼし)
打出の小槌(さいづち)
あわびのし(たばねのし)
唄われた縁起物にないものは、
とりばち(取鉢、金銭を小分けする木皿、戎さんでは赤紙で作る)
かねばこ(金箱)
ゆでばす(水煮した蓮根)→江戸末期からはいれます(お金を升に入れる)
唄われなかった縁起物は、
末広、丁銀、臼、米俵、鯛、大福帳
端唄に唄われていなかったからといって、縁起物が新しいものかは分からない。古文書や絵画史料に当たってみる必要があるのは言うまでもない。
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