基礎ということ

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二畳庵主人/加地伸行『漢文法基礎 本当に分かる漢文入門』(講談社学術文庫、2010年)

本書は加地伸行氏が二畳庵主人としてZ会で連載した「漢文法基礎」から生まれた『漢文法基礎』(増進会出版社、1984年)を復刊するに当たり、「その方針としては、全体的に相当の補修を加え、第五部「問題編」や第六部「中国の文化と社会と」は削った」(後記)ものである。それでも索引を入れて603頁ある。

タイトルの「基礎」について、「初歩的知識」との違いについて書いてある箇所を引用して紹介を終える。

「魚つりは、フナつりに始まってフナつりに終わる」ということわざから基礎と初歩的知識の違いを説明している。

「私の言おうとする基礎とは、あれこれ経験を経たのちの最後の段階のフナつりに当たる。初歩的知識というのは、魚つりを始めるころのフナつりを指している。最後の境地のフナつりは、形こそフナつりで同じだが、その内容は、まったく異なるのだ。基礎というのは、初歩的知識に対して、いったいそれはいかなる意味を持っているのか、ということ。つまりその本質を反省することなのである。初歩的知識を確認したり、初歩的知識を覚える、といったことではなく、その初歩的知識を材料にして、それのもっている本質を根本的に反省するということなのだ」(P35)。

本書は漢文の初歩的知識を知っていることを前提に書かれていることに留意したい。語りかける口調で書かれているが、決して易しくはないのだ。

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