『小林秀雄講演第5巻 随想二題』(2004)

視聴時間

小林秀雄『小林秀雄講演第5巻 随想二題ー本居宣長をめぐって』新潮社、2004年

CDは53分と45分。1972年9月25日名古屋中日ホールで「宣長の『源氏』観」と1977年11月14日大坂毎日ホールで「感想」と題した講演を収録した。安岡章太郎が「口伝の魅力」を書いている。

「宣長の『源氏』観」

すでに小林秀雄が本居宣長を論じた講演を聞いているが、学生相手の用意した講演と違い、話が脱線している。小林秀雄が学者を評論で扱ったのは初めてだと話し始めた。本居宣長を読み始めて源氏物語を読むことになったという。

論語の「君子欺くべし」 を引いて本居宣長が源氏物語を読む態度であるという。素直な心を持って読むことを楽しんだと小林秀雄はいう。本居宣長は源氏物語を信じ、楽しみ、愛したという。

小林秀雄はこの世のマコトと歌のマコトは違うという。源氏物語を読んで人生の感慨を催すときに物の哀れを感じるのは歌のマコトだという。物の哀れは人間の道といって講演は終わった。

「感想」

75歳の小林秀雄の講演である。昔、文芸銃後運動で行った講演は辛かったという。マイクがなかった。今回は新潮社の本の広告だという(笑)。

内容は『紫文要領』から物の哀れを論じたものだ。『紫文要領』は箱の中に戻したけれども、この講演を聴いて、また、箱の中から引っ張り出す気になった。言葉の力を感じた。標準語というより東京弁といった話し方だった。

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