初春大歌舞伎「双仮名手本三升(ならべがきまねてみます)裏表忠臣蔵」を新橋演舞場で観る。出演者にチケットを手配してもらったので正月の夜に出かけることにした。
通しで観るだけの体力はないので、やはり七段目の祇園一力茶屋の場のある夜の部がよくて、役者さんも夜の部が出番であった。仮名手本忠臣蔵の各段(表)にどのような裏(創作)を入れたか楽しみである。補綴(台本のこと)・演出は石川耕士、演出・振付は宗家藤間流藤間勘十郎である。
「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」 新橋演舞場 2025年1月3日〜1月26日(日)
【夜の部】
第三幕
祇園一力茶屋の場(七段目)
中居(市川右若)が酔った大星由良之助(市川團十郎)に踊りの指南をするのが面白い。やがて、大星力弥(中村虎之助)の鞘当の音の合図で抜け出した大星由良之助(團十郎)は顔世御前からの密書を受取り、読んでいると遊女となったおかる(中村児太郎)に手鏡で読まれてしまう。縁の下の斧定九郎には手紙の端を千切られる始末だ。絵に描いたような場面は観ていて楽しい。
東海道金谷宿本陣の場
桃井若狭之助の家老加古川本蔵(中村梅玉)と名前を騙った大星由良之助(團十郎)の対面のあと、人差し舞う大星由良之助(團十郎)が良い。しかし、この場面は仮名手本忠臣蔵になく、裏忠臣蔵である。
第四幕
稲瀬川川端の場
密偵を果たした腰元お梅(右若)が顔世御前の館から出てきて斧定九郎(團十郎)に手紙を渡し、言伝を終えると、無惨にも斬られて川の中へ落ちていく。成田屋と一対一で絡むシーンが良かった。
高家奥庭泉水の場(十一段目)
高師直(團十郎)が薙刀で奮戦し、矢間新六(市川右近)が清水大学(市川右團次)とやり合うなかでユーモラスな雪投があったり、寺岡平右衛門(中村歌昇)が斧定九郎(團十郎)とやり合う中で同じ仕草が取り入れらている。斧定九郎(團十郎)は何故か死んだはずの勘平に撃たれてしまう。最後は大星由良之助(團十郎)が高師直を刺して首を取って亡君の墓前に向かうことになる。
「二筋(ぜんもあくも)旅路の市川(ひとすじ)」
幻想のおかる(市川ぼたん)と幻想の勘平(市川新之助)による踊りが披露され、斧定九郎(團十郎)の宙乗りで死出の旅路となる。團十郎の宙乗りは南座で観た伊達の十役以来だった。
花水橋の場(十一段目)
一同揃ったところに大星由良之助(團十郎)が登場。最後は花吹雪を思いっきり浴びて幕となる。めでたし。めでたし。
コメント