小室金之助『法律家シェイクスピア』新潮選書、1989年
著者の小室金之助(1928-2015)は法学者で弁護士だったので、法律の専門家である。シェイクスピアの作品に法律問題や法律用語が出てくることで、シェイクスピアは何者感があるが、「シェイクスピアは法律家であったか」という問題を論じた本がこれほど面白いのは、文学者の論じるシェイクスピアとは見方が異なるからであろう。
Le Petit Parisienのオーナーさんに借りた森護『シェイクスピアの紋章学』(大修館書店、1987年)が紹介されていたので(p.22)、カワカマスの紋章を確認したくなった。やはり、レファレンスとしての本は手元にありたいと思う。
少なくとも法律に関する執拗な議論がつまらないと思う人は手に取らない方が無難な本だと言える。シェイクスピアを読むのに法学の知識はからなずしも必要がないのであるし、法学者達の議論も決着がつくような代物ではないのである。
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