『紋章の歴史』(1997)を読む

書籍目録

ミシェル・パストゥロー、松村剛訳『紋章の歴史 ヨーロッパの色とかたち』創元社、1997年、2020年第10刷

Le Petit Parisienのオーナーさんより、借りて読む。元々は他のお客様の本なのだが、オーナーさんは気に留めず又貸してしまう。週刊新潮2024年5月16日夏端月増大号の五木寛之氏の連載「生き抜くヒント!」は「私のなくしたモノ」だったのでこちらの方が気になった。

本書は158頁と薄い本である。カラー図版が豊富で入門書としては良い出来であると思う。

オーナーさんが「紋章は誰もが使える」(p.18)というは誤解を招く表現であるとしてクレームを付けていた。英国のように制度としての紋章の話をせずに、紋章が貴族や裕福な商人の独占でなく平民も私的使えたとして紋章の例を挙げていた(p.19)。紋章の公的利用と私的利用は何を意味しているか。平民というのも色々とあると思うが、図版では槍を持っているのでどのような立場の人なのか解説が必要があるとよかった。紋章が十字軍の遠征とともに騎士の区別の必要性から生まれたというのはよく知られた話である。紋章が作られた時代に名字も生まれ、アイデンティティが必要になった背景もある。12世紀になると紋章が世襲されて行く。紋章が戦士以外に普及したのは印璽の地に紋章が使われたことが挙げられている。

紋章の歴史

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