奈良まで仮面を観に行く

旅の時間

奈良県立美術館で「仮面芸能の系譜」展の初日を観た。今年は温習會の日程の都合もあり、また相方の推し活もあって、独り遊びになるところだったけれども、酔っ払った席で旅行の話をしたら、同行希望者が出たため、夜は賑やかになった。

薬師寺の塔で釈迦の生涯を振り返る

京都から近鉄京都線で橿原神宮前行の急行に乗り、西ノ京で降りる。駅前は萩の花が終わって、アベリアが少し残っていた。境内では紫式部の実が迎えてくれた。観光案内所で地図を貰い、近鉄奈良駅行きのバス乗り場を聞くと、地図に時間を書いてくれた。毎8分と38分が土曜日の春日大社本殿行の出る時間である。

薬師寺に来たのも国宝東塔の大修理中に心柱などを見学したのが最後だったと思うので、完成なった国宝東塔を見るのが楽しみだった。ちょうど国宝東塔落慶記念で東塔・西塔特別公開が行われていた。国宝東塔初層内ならびに西塔初層内 中村晋也作「釈迦八相像(東塔因相・西塔果相)」を公開していたのである。共通拝観券1,600円也。

東院堂の国宝聖観音菩薩像に久々にお会いした。いいお顔である。国宝東塔から西塔の順に初層内の彫刻の釈迦八相像を見て回る。迫力に圧倒される。創建時の塑像の釈迦八相像がどういうものかわからなくても、この釈迦八相像は本物である。良いものを拝めた。あらためて塔はストゥーパであることを思い出した。この後金堂の国宝薬師三尊像を見て、講堂の弥勒菩薩像を見てから、玄奘三蔵院伽藍の平山郁夫画伯の障壁画に再会して、須弥山をしばらく眺めてから、西ノ京の駅へ向かった。

薬師寺東塔

奈良交通バスで西ノ京から県庁前まで春日大社本殿行に乗る。

仮面芸能の世界を堪能する

奈良県立美術館は奈良県庁の北側にある。ここもしばらく来てなかった。奈良国立博物館よりも近いのだ。奈良国立博物館はなら仏像館・青銅器館が開いているだけで、東西の新館は展示替えで休館となっている。正倉院展が10月28日より始まるまで特別展はない。

奈良の仮面は考古学資料から始まる。期待していた纏向の木製仮面は写真にて展示されていた。纏向の木製面のレプリカは三輪駅の三輪座にあったのを相方が見つけて喜んでいたことを思い出した。今回の展示では唐子・鍵遺跡の近くの清水風遺跡から出土した絵画土器が展示されていた。仮面は芸能の歴史そのものだ。奈良時代の伎楽、平安時代の雅楽・舞楽、そして猿楽、能楽と続く長い歴史を持っている。展示の説明の字が細かいので読むのがしんどいが学芸員も開館50周年記念ということで気合いが入っていたのだろう。翁も奈良豆比古神社の翁舞は以前に観に行ったので期待していたが、展示は後期であったのが残念だった。仮面芸能の系譜展は観覧料1,800円、図録は3,300円であった。この図録には特別対談「あぁ、そうやったんか…奈良の仮面芸能の「おそろしさ」を大いに語る」があり、宮本圭造(野上記念法政大学能楽研究所 所長)岡本彰夫(奈良県立大学客員教授、春日大社元権宮司)、大倉源次郎(能楽囃子方大倉流16代宗家)、桂吉坊(落語家)、籔内佐斗司(奈良県立美術館館長)による爆笑対談であった。

奈良県立美術館とせんとくん

仮面芸能の系譜〜仮面芸能のふるさと奈良〜 奈良県立美術館 前期展示・2023年9月30日(土)〜2023年10月22日(日)、後期展示・2023年10月24日(火)〜2023年11月12日(日)

国宝東塔落慶記念 東塔・西塔特別公開 薬師寺 2023年4月28日(金)〜2024年1月15日(月)

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