E.H.カー、清水幾太郎訳『新しい社会』岩波新書、1953年、1963年第16刷改版、1996年第32刷
清水幾太郎が『論文の書き方』(岩波新書、1959年)の中で、カーの講演の恐るべき密度(P192)を書いていて、以前に読んだ『歴史とは何か』(岩波新書、1962年)もラジオの講演であったことを思い出した。『新しい社会』はkindle版にもならず忘れ去られたようである。社会主義の歴史を扱ったものは急速に忘れさられるのであろう。本書を手にしたのはカーの主張ではなく、清水幾太郎がいう密度を日本語でどれだけ感じられるかを確かめたくなったからである。『歴史とは何か』を訳す前に書いた主張は訂正を要するであろう。『歴史とは何か』を訳しているときは、清水幾太郎もCaarの文体に慣れてたはずである。それでも密度を感じたと書いてあるので、本来は英文で読みたいところだが、kindleに転がっていないし、日本語としての文体で研究してみることにした。
1951年の5月と6月のBBCの放送がThe Listenerに掲載されたもの。
「歴史意識」(P2)から話を始めており、『歴史とは何か』と同じ問題意識である。
コメント