『信長研究の最前線2』(2017)

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日本史史料研究会監修渡邊大門編『信長研究の最前線2 まだまだ未解明な「革新者」の実像』洋泉社歴史新書y、2017年

このシリーズも2周目に入ったのだろうか。16本の論考を渡邊大門氏が編集している。

藤本正行氏の「【信長の画像】信長の顔・姿は、どこまで本物に近いのか」を読む。藤本氏は老害振りが出て、もう読むことはないと思っていたけど、画像の鑑賞はまだまだ楽しませてくれるようだ。『鎧をまとう人々』(吉川弘文館、2000年)が秀逸だったので、また読み返そうと思う。

本論考は少し、駆け足が速すぎて、味わいに欠ける点もある。摠見寺本の信長は写真も省略されていたので、文章で大徳寺本の信長と比較するしかない。「左の小袖の口から覗く左手首の表情に違いがある」とした上で、「すなわち大徳寺本のそれは、左手を軽く握った自然な姿であるのに対し、總(ママ)見寺本のそれは手首を突き出しており、画像全体のバランスから見ても不自然である。この手首が不自然にならないようにするには、数珠を握らせるのがよい」と評した。その後の著者の想像部分はなるほどと思った。想像部分のリアリティは知識の裏打ちが必要である。

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