奈良その奥から 14「伝承の重み」

ひととき

岡本彰夫 『ひととき』2019年12月号

元春日大社権宮司の岡本彰夫氏が「風格」について『ひととき』2019年12月号に書いている。

「伝承は「心象遺産」である」。

「講談や浪曲で喧伝された「忠臣蔵」には史実に無い咄がワンサカ盛り込まれている」。

「南部坂の別れ」も史実には無いと岡本彰夫氏はいう。大河ドラマでもそんな場面、大石蔵之介が浅野内匠頭の妻・瑶泉院知識に別れを告げる段、を見たことがあるが、確かに名場面過ぎる。

「しかし、この話の中には、かくあって欲しい、こうなりたいとの熱い想いが籠められているのだ」。

創造された話は史実とは異なるかもしれないが、我々の情に訴えるものは伝承される。「心象遺産」として私たちの心に響くのだ。伝承には「生活の規範とした我々の祖先の生き様」がある。決して軽くは無い。

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