奈良その奥から六「岳のぼり」

ひととき

岡本彰夫『ひととき』2019年4月号

春日大社の元権宮司の岡本彰夫氏が「岳のぼり」について『ひととき』2019年4月号に書いていました。岡本彰夫氏の故郷では、「岳(だけ)のぼり」といって毎年四月に各在所で定められた霊山・霊地に登拝し、各家で遊山を楽しむといいます。小学六年生の頃のそんな思い出を書いています。羽織を着た老人が下駄で降りる中、重装備の登山家の一隊が威儀を正して登ってきて、すれ違いざま、老人を見た一隊の驚愕した顔つきは、今でも忘れられないそうです。

「霊山・霊地に入るには礼儀があって然るべしで、事もなげに人間が入るべきではないと思う」という言葉に続き、「春日大社の廻廊は地形に合わせて建てられている」。神か坐す所であるから「人間風情が濫りに掘ったり穿ったりするべきではないのだ」といいます。

注)昔、五月の連休に燕岳荘から中房温泉へ下っていたとき、下から長靴と傘で登ってきた身軽な男性を見かけたことがありました。オイオイ、日帰りならともかく、雪が凍ったら降りられなくなるぞと思いました。

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