平山優『戦国大名と国衆』角川選書メチエ、2018年
平山優氏の最新刊である。前回の本に比べて薄いにも関わらず読むとすぐに眠くなるのは、最初に出てくる用語の定義のせいである。これを越えないと先に進めない感じがするのが、「論」のせいで、『武田氏滅亡』(2017年)のように武田勝頼の生涯を扱った本と違って「国衆」の特徴を明らかにすることが目的だからである。戦国大名の歴史を扱うのと権力構造を扱うのとでは大分、論の進め方が違うのである。
第1章では「国衆」、次に武田氏の場合を例に「先方衆」を取り上げ、なぜ「戦国領主」という概念を使わないで「戦国大名」を使うのかを説明する。第2章では「国人」、「国人領主制」、「室町期荘園制」が説明され、これが終わって、海野領の形成という具体的な事例に入っていく。やっと視界が開ける感じである。
目次に出る用語の説明が終わると、目次そのもので本書の主張が見えてくる仕組みだ。
第1章 戦国期の国衆と先方衆
第2章 室町期国人領主の成立と展開
第3章 国人領主から国衆へ
第4章 戦国大名領国下の国衆「領」(「国」)
第5章 国衆の武田氏従属
第6章 先方衆としての国衆と武田氏
終章 武田氏滅亡と国衆
それにしても、通勤時間では、40頁以上ある章毎に読むことができないので、読み直ししながら読む本である。まとめて読もうとすると、週末になるが、先週末のように飲み歩いたりすると、読めないので、コツコツと仕事の合間に読むしかない。
#平山優 #中世史
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