吉川幸次郎『読書の学』ちくま学芸文庫、2007年
先に、吉川幸次郎・梅原猛編『対話 詩と永遠 愛蔵版』(雄渾社、1975年)を再読して、吉川幸次郎の読書について抜き書きしたことは書いた。読書そのものを吉川幸次郎が書いていたのは、記憶にあったが、本が見つからなかった。買った方が早いのはもっともだが、本を処分するのは辛いし、読む本は幾らでもあるので、機会があれば読んでみようと思ったが、偶然出て来た。付箋が貼ってあった。「言語というものは、そもそも一定の事実を伝達する符牒として発生した音声である」(P11)。このあたりに付箋を貼っていたのは、ソシュールを読んでいた時期のせいであろうか。
『読書の学』(筑摩書房、1975年)は1971年9月から1975年4月まで筑摩書房の雑誌『ちくま』に掲載された39編に補注5を加えて単行本としたものだ。1988年に筑摩叢書となり、2006年にちくま学芸文庫となった。文庫解説は興膳宏氏である。
はしがきに著者の主張の在り処を載せている。第1の冒頭、第10の冒頭、第12の冒頭、第14から17のはじめ、第23の冒頭、第25の冒頭、第29の終り、第39など。まず、そこからページをめくって付箋を貼ってみた。この態度は著者の方法ではなく、事実の獲得を優先する考え方である(笑)
2017-10-18 言葉は一回限りの表象
言葉は一回限りの表象
吉川幸次郎・梅原猛編『対話 詩と永遠』雄渾社、1975年 本書は1967年に出版された『詩と永遠』の愛蔵版 50年前の対話である。 吉川幸次郎が本を読む能力についてまず語り出す。読書とは話者の心理に踏み込む技術だという。その技術を抜き書きす...
#吉川幸次郎
コメント