『蝋燭能〜鬼づくしの二夜〜第一夜 鉄輪』ビクター伝統文化振興財団、2005年
久々にDVDで能を見ることにした。
当然『鉄輪』であることは、このブログの読者であれば想像がついたはずだ。
2004年8月27日、札幌メディアパーク・スピカにて鬼づくしの二夜の第一夜は『鉄輪(かなわ)』である。
観世喜正師と野村萬斎師が前説する。
最初に観世喜正師が野村萬斎師は安倍晴明を演じないと説明する(笑)。
安倍晴明がワキであり、野村萬斎師はアイのため、貴船の宮の杜人を演じる。能では狂言役者はシテもワキも演じられない。
蝋燭能である。能楽堂ではないので、柱がない。蝋燭を点灯しながら始まる時を迎える。
アイが登場し、「都より丑の刻詣する女あり」と場を説明する。
次第がヨー・ホーという掛け声を繰り返すうちに、前シテ(観世喜正師)が静々と現れる。
森浩一先生は能に興味がなかったのだろうか。森浩一先生は和泉式部が貴布禰で敬愛の秘事を行ったことに注目していた。この内容も気になる。
しかし、私は和泉式部の歌「物思えば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる玉かとぞ見る」を受けて、後シテの鬼女が「我は貴船の川瀬の蛍火」と名乗るくだりにぞくっとする。
なお、観世喜正師の初めてのDVDである。
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