『学習する組織』(その2)

読書時間

ピーター・M・センゲ、枝廣淳子、小田理一郎、中小路佳代子訳『学習する組織ーーシステム思考で未来を創造する』英知出版、2011年、2016年第10刷

今回の増補改訂版は、デミング博士をめぐる扱いが白眉である。当初の本のカバーにデミンク博士の推薦文が載せられていたのである。残念ながら、最初の翻訳である『最強組織の法則』(1995)では、代わりにT.W.カン氏が解説を「日本企業の新しいチームワークへの指針」として載せていただけで、デミンク博士の話はどこにもなかった。

「私たちのマネジメントの一般的体系は職場の人たちを破壊してきた。人は生れながらにして、内発的な動機づけ、自尊心、尊厳、学びたいという好奇心、学ぶことの喜びを備えているものだ。しかし、それらを破壊する力は、幼児期に始まりーーハロウィーンの仮装大賞、学校の成績、そして「よくできました」の金星シールなどーー、大学卒業までずっと続く。職場では、人もチームも部門も、ランクづけされ、上位なら報酬がもらえ、下位なら罰が待っている。目標管理制度(MBO)やノルマ、奨励金や事業計画は、部門ごとにばらばらに積み上げられ、わからないものやわかり得ないものまで含め、ますます多くのものが破壊されていく」。

マネジメントの一般的体系と学習についての洞察がここにある。教育と仕事は深く結びついている。

デミンク博士がこう語っていたという。

「教育の一般的体系を変えなければ、マネジメントの一般的体系は決して変えられない。両者は同じシステムなのだ」。

「上司と部下の関係は教師と生徒の関係と同じだ」。

そして、センゲ教授はこのようなマネジメントの一般的体系を作り出した8つの基本的要素をあげている。

評価によるマネジメント

追従を基盤にした文化

結果の管理

「正しい答え」対「誤った答え」

画一性

予測とコントロールが可能であること

過剰な競争と不信

全体性の喪失

学習組織はこのマネジメントの一般的体系を作り出した原理を考察し変革するものだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました