八瀬赦免地踊を見る

旅の時間

八瀬赦免地踊は京都市登録無形民俗文化財である。何かの縁が重なって八瀬赦免地踊を観に行くことになった。私たちは車で国道367号線を八瀬に向かった。しかし、乗務員さんが要領を得ないのである。どうやら八瀬天満宮は知らないという。カーナビの検索もままならないうちに、トンネルを超えてからだいぶ来てしまった。

戻って道を聞いてもらい、人参を振っている警備員に導かれ駐車場へ入った。今年は八瀬小学校ではなく、大原よりに少し遠いところに設けられたようだ。町道入口まで歩いて行くとパトカーが停まっていた。この信号機を目標にしなければ、通り過ぎるしかない。暗いのだ。久しぶりに夜の暗い道を味わう。

町道を歩いて行くと、左手に八瀬天満宮への参道を少し上ったところに北公民館があった。売店2でパンフレットをもらって、20時から始まるという説明を聞く。1時間以上もあるので、町道へ戻り、灯籠を宿元に見に行くことにした。

途中右手に「ふるさと」という料理旅館が高野川越しに見えた。ふるさと前というバス停の名前の元である。

一番宿元の豊田家へお邪魔した。上がらせてもらい、二基の灯籠と、女装した二人の中学生の灯籠着(とろぎ)を写真に撮らせてもらった。次に三好家へお邪魔した。女装した二人の中学生の灯籠着と警護役の若者が二人いて盛んに写真を撮られていた。

売店のある三叉路へ戻る。他の二つの宿元のうち正木家は少し離れている。徒歩20分とある。左京区役所八瀬出張所の北側が門口(もぐち)となっており、私たちは門口の北側の休憩所で座って待っことにした。

急に男衆が前に並ぶ、十人頭が音頭取り衆を検分するという。背中から見ることになってしまった。音頭取り衆が潮汲み歌を太鼓に合わせて歌うのが聴こえる。練習の成果を検分して、OKをだすのが十人頭の役割だ。

灯籠着が被る灯籠の切絵の作業は6カ月かかるという。朝9時から赤い切絵を灯籠へ糊付けする。切子灯籠の所以である。女子小学生の踊り子は京舞の井上流の振付だという。

赤い提灯を下げた可愛い踊り子達が先導の二張の提灯に導かれて歩き始める。灯籠を被った灯籠着が警護役に付き添われて続いて行く。前が見物人で塞がってしまい我々も先に進めないが、行列もゆっくりなので、徐々に脇をすり抜けるようにして、神社の参道に出た。

先の方にある石段には見物人が左右をすでに占めていたので、途中まで上がり、左手の広場の先に仮設の舞台があるのを確認して、私たちは石垣側で灯籠を待つことにした。舞台前の椅子席はすでに観客で埋まっている。

なかなか上がってこない。道歌が始まり徐々に大きくなって提灯を下げた先導の後に、赤い提灯を下げた踊り子たち、そして8基の切子灯籠を被った灯籠着が踊場へ向かって行く。灯籠回しで場所を清めた後に、8基の灯籠を石垣の前に並べて神事は終了したとみた。役員がマイクで来賓の紹介を始めたからである。

この後に三番叟や踊の奉納があるとのことだが、我々は来賓の名前を次々に読み上げていくアナウンスを後に石段を降りることにした。俗事には興味を持てないのとお腹も空いていたのであった。

駐車場まで戻りながら、我々はよい祭だが、来賓の紹介が余計だと話し合っていた。そして、随分と乗務員さんを待たせてしまったことを後悔した。車は夜の道を走り、丸太町通に出たところで帰ってきた気がすると言ったら、相方は京都人でもないのにおかしかったようだ。何度も歩いているところなので暗いながらも見覚えがあり、懐かしさを感じたのだった。二条木屋町で車を降り、遅い夕食をとるべく店の階段をゆっくりと上って行った。

売店でもらったマップに2010年10月11(日)の日程が書いてあり、今年も変わらないのだろう。

9:00より出張所で灯籠作成

(神社では時間は不明だが、湯立神事などがあることは売店で購入したDVDで分かった。)

15:30頃 各町宿元にて灯籠展示開始

(19:20 十人頭による音頭取り衆の検分のため潮汲み歌が歌われた。)

19:30頃 灯籠が、各宿元を出発

20:00門口(もぐち)出張所横売店北側に踊り子、灯籠着が集合

儀式に次いで行列が秋元神社へ出発

20:30秋元神社の石段下にて道歌開始

(20:40踊場で灯籠回しをして、灯籠を奉納、来賓紹介がなされる。)

この後、三番叟や踊り子の潮汲み踊や花摘み踊、灯籠回しなどが奉納されて、

21:30頃 終了予定

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