梅原猛『日本の深層―縄文・蝦夷文化を探る』(集英社文庫、1994年、2013年第10刷)
松岡正剛氏が千夜千冊の番外録のなかで梅原猛氏の一冊を選んだのが『日本の深層』だった。解説の赤坂憲雄氏をして「予言の書」と言わしめた本である。
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単行本を1983年に佼成出版から出た時に買ったのだが、その後「会津魂の深層」を加えた新版(1985年)は買ってなかった。「山形紀行」を文庫化で加えたというのは、松岡正剛氏によって知ったので、買ってきて読むことにした。
人気のある著者が春秋に東北を訪れて「紀行記」の形で東北を論じながら、福島県が触れられてなかったので、翌年(1984年)に会津鶴ヶ城築城600年の記念シンポジウムで会津を訪れて「会津の深層」を書き、さらに、山形県も庄内地方しか書かれていないということで1985年に山形新聞に「山形紀行」を連載した内容を加えて1994年に文庫化した。
非常に荒削りな内容なので、赤坂氏が検証作業を重ねる必要があると言っているのはもっともだ。それだけ大きなテーマを著者が「紀行記」の形で出したわけだ。松岡氏が梅原猛氏の編集力を評価していることは分かる。梅原猛氏の魅力は紀行記、訪問記の形で臨場感を出すのことにもあると思う。
「蝦夷」の扱いは読み方を含め松岡氏が注意を喚起していた。なんでも鵜呑みにはできないものである。
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