薮本勝治『『吾妻鏡』の合戦叙述と〈歴史〉構築』和泉書院、2022年
薮本勝治氏の『吾妻鏡』論を読む。歴史研究者の批判的読書と文学研究者による批判的読書の違いはあるのか、それとも気のせいなのか。小松英雄を読むことで、文学研究者と言語学者の解釈力の違いというか学問の厳密性の違いを感じたことがあった。おかげでそこいらの文学研究者の本を片付けることができたのはいうまでもない。薮本勝治氏の読みをみていくと『吾妻鏡』の編纂ものの性格がよく見えてくる。戦記物を読み解くのと、手紙や日記を読むのとでは事実というものの扱い方が異なるのだろうか。文献史学者がお互いに論を主張するを見ていると、切り込み方が違っているので、どちらを採るにしても、判断の材料が自分は不足しているのがわかるので、それぞれの論文を読んでみたくなる。
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